「わたしにもやさしくしろ」 ってか


  夕刻、店じまいをし終わったところで、

年配のご婦人が入り口前で何やらおっしゃっている。

店先まで出てみると道を尋ねられた。

「金田町5丁目にはどう行けばいいんでしょう」

“ずいぶん遠いな” 道順を教えようとしたがお耳がだいぶん遠いようだ、

“困ったぞ” 

「どうされましたか」と耳元で大きな声で尋ねてみた、

病院を探してきたのだが、見当たらず道に迷ってしまったとのことだった。  

歩いてなら大変だと思って 「ここまで歩いてきたのですか」 と尋ねると、

自転車だと言って3輪自転車を指差した。

とても2輪自転車には乗れないだろう方だったので納得したのだが、

それでもここからだと大変だし、帰り着くまでには暗くなってしまう。

「この道をまっすぐ行って、最初の信号を右に曲がって、2つ目の信号を左に曲がって・・・」

とても無理だろうと息子の方を見ると

『送っていこうか』  

「そうしたってくれるか」

で、ご婦人に 「近くまで車で送ります」 

「自転車があるので・・・」 

「自転車も乗せて送ります」 

不安そうな顔が恐縮そうな顔になった。 

夕飯時に、当家の愚妻 「あんたら二人やさしいね・・・!」

お褒めとも嫌味ともとれる微妙な言い回し・・・。

気のせいか・・・(^)o(^)

     

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